ザル? ザブ?

先日の日記では、Ati Radeon X1950Proを乗せたビデオカードが五月蝿く、そのままでは使えないがなんとかしたい、と書いた。

問題は消費電力が60W超と半端無く大きく、そのためにファンが五月蝿いこと。私はそれほど回りの騒音に敏感では無いほうだと思うが、それでも他の作業に集中できない程にファンの回転音(風切り音)が気になる。

こういう時は、「じゃあ静かにさせてしまおう」というのがPC-DIYの当たり前の対処方法だ。とはいうもののVGAヒートシンクとファンを換装する必要性に駆られたことは過去にはまず無かったし、最近はとんとそちら(PC-DIY)の事情も判らないので、まずはリサーチから。

  • 笊化、ZAV化

有難いことに、現在主流になっているAti Radeonと、nVIDIA GeForceシリーズのGPUを搭載したビデオカードのうち、リファレンス(GPUメーカが提供する基準実装)カードと同じ構成のカードは五月蝿いのはむしろ当たり前で、それを高効率、低騒音にするための換装用のヒートシンク&ファンが普通に流通しているらしい。そのうち、代表的な二つのメーカの製品を紹介してみる。

ZALMAN VF900-Cu


韓国ZALMAN社のVGAクーラの代表的な製品。"-Cu"の呼び名から判る通り、銅で出来たヒートパイプをファンをぐるっと取り囲むように加工し、その周りに純銅のフィンを取り付けた製品。Ati RadeonシリーズとnVIDIA Geforceシリーズの両方に対応する。

一つ下のVF700シリーズも含めて、高い性能且つ安価で入手製が良いために、この手の目的に使うパーツとしてはこの後紹介するArctic-cooling社の製品と共に、PC-DIYではデファクトスタンダードとなっているようだ。なお、"ZALMANを使う" -> "ザルマンを使う" -> "笊(ザル)を使う" でZALMAN社のVGAクーラに換装することを"笊化"というらしい。

Arctic Cooling Accelero X2


スイスArctic-cooling社のVGAクーラの代表製品。ヒートパイプに接続されたヒートシンクフィンブレードと、それを冷却するファンを、エアフローを形成するように加工されたハウジングに格納した製品。Accelero X2はAti GPU向けの製品であり、同様にnVIDIA Geforceシリーズに対応するAccelero X1がある。同社はこのAcceleroシリーズの他にも非常に多くのVGAクーラをラインナップしており、日本でもかなりの数の製品が入手可能だ (http://www.arctic-cooling.com/vga1.php)
なお、日本での販売は株式会社ザワードが行っており、ザワード上での型番は全て"ZAV-〜"と、"ZAV-"がつく為に、ザワード製VGAクーラに換装することを"ZAV化する"というらしい。(既に元々のArctic-cooling社とは関係無くなってしまっているのが面白い。)

  • 笊換装

この両製品はどちらも簡単に手に入るので、本当は両方試してみたかったのだが事情もあり、結局はZALMAN VF900-Cuを選んだ。
既に換装も済ませているが、換装作業は非常に簡単で対応しているビデオカードであればものの10〜20分で作業を完了できるだろう。(最近のビデオカードは昔とは違い、同じGPUが搭載されているのであれば、GPUを始めメモリチップの配置、開いているネジ穴の位置やサイズはまず変わらない。運が悪ければ製品に追加されたジャンパや追加のコンデンサが干渉する位だろう。)

使った感想だが、素晴らしいの一言だ。ケースを開けるともわっと熱気が解る程だった冷えないヒートシンクは、換装後のアイドリングでは触れることができる程にしか熱くならないし、あの酷く耳障りな「シャーー」というファンの音は他の騒音(CPU用のヒートシンクファン、ケース排熱ファン)にかき消される位、全く気にならないレベルにまで落ちた(VF900-Cuはファン電源を外部から採る必要があるのだが、ファンコントローラが付属しておりスピードを2段階(18db, 25db)に可変できる。今の季節、通常の使用では18dbで十分実用になる)
また、銅製ということでシンクが重くてカードがたわんでしまわないかと危惧したのだが、銅といってもシンクは薄いフィンであり、ヒートパイプは中空なので非常に軽い。元々付いていた鉄板に銅メッキをしたと思われるヒートシンクに比べても確実に軽いのである。

今回のVGAクーラの換装だが、元々付いている部品を外すことは分解と同じ扱いになるため、当然メーカの保障を受けられなくなる。まあ、自作したPCなど保障など無いのと同然なので、そういうことを気にする人は今回のようなクーラの換装はしないに越したことは無いだろう。私と同じようにVGAクーラの煩さに辟易している方でCPUの換装位はやった事がある、保障なんて気にしないという方にはお勧めだ。

さて、これであと1〜2年は今のシステムを前線で使うことができそうだ。