Ultimate Ears Triple.fi 10 PRO

Ultimate Ears Triple.fi 10 PRO
Ultimate Ears Triple.fi 10 PRO

実は同5Proが7月頃に断線していたので、良い機会&代理店が変わったことでAmazonで安価に購入できるようになったこともあり、既に10Proを入手していた。 なのだが10Proを最初聞いた時の(5Proと比べての)あまり音の酷さに落胆し、日記では敢えて触れていなかったのだ。

「使い続けても酷いようであれば、ネタとして書いやろう」というつもりでいたのだが、ここに来て俄然素晴らしい音になったので再度採りあげる気になった。

購入当初はとにかく酷かった(5Proに慣れきっていた自分にはそう感じたのだろう)。低音が売りのはずが100hz以下は聞こえないし、200hz位の低音はボーボー言うだけだし、真ん中のボーカルは引っ込む。最初から聴くべき所があるなと思ったのは高音だけだった。

「3ドライバだしネットワーク/クロスオーバの影響が強いのかなぁ。こいつは地雷踏んだかなぁ」

等と嘆きつつも、スピーカでも3Way以上のネットワークが凝ったタイプは良く聴けるようになるまで時間がかかる、というのは経験上知っていたので我慢して使い続けることにしたのだった。

私はオーディオが好きだが、好事家では無い。なのでいわゆる「エージング効果」と言われているものを100%信じることはできないが、それでもイヤフォンが機械式である以上、使い続けることによって生じる何らかの経年変化と、人間の耳の機器への順応によって音が変わって聴こえることは判る。


今や10Proは5Pro以上の音質であることを自信を持って言える。傾向は5Proの同一線上にある製品なので当然似ている。細かい部分や音の傾向は5Proと同様なので省くが※、ドライバを増やした狙いとして1つのドライバで担当する周波数帯域に余裕が出来たのか、周波数の上と下の両側にレンジが拡がった感がはっきりとする。

同社のイヤフォンで最も素晴らしいのは、通常イヤフォンではなし得ないはずの脳内へ展開される音場イメージ感だが、5Proと比べて全く劣ることもなく、左右上下の定位や拡がりは勿論のこと、ステレオマイク一発で録った音が良いクラシックやジャズならば、(生演奏を何度か聴いた経験が無いと駄目だが) 奏者の担ぐ楽器の高さや奥行きまで感じることができるだろう。

値段を気にせず(安価になったといえども、5Proより1万7千円以上高価)、DAPでも良い音を楽しみたい人には自信を持ってお勧めする。また、カナルタイプの常として、音質と音場イメージは装着の仕方にかなり左右されるため、添付のチップをいろいろ試してみて最も良いものを見つける必要がある。

シャカシャカと阿呆の見本のように所構わず音漏れをさせている輩はあまり見なくなったが、本製品のように、音漏れの無い、良い音のカナルタイプのイヤフォンがもっと普及して欲しいと思う。

※5Pro購入時のレビュー -> http://d.hatena.ne.jp/Kazzz/20060218/p1