Windows8への道 その2 (インストールとデータの移行)


必要なハードウェアの換装が終わったので、一度フルバックアップを行い、その後念のため「Windows転送ツール」でユーザ固有のデータをUSBハードディスクに保存した後※、Windows8 Pro 64bitのインストールを開始した。
64bitのOSなので現在のWindows7 32bitからはインストーラを起動できない。よってDVDから直接ブートする。

インストール自体は対象のパーティションがSSDなこともあり、非常に速い。データコピーを含めて30分もしないで終わってしまった。今回よりモバイルのOSのようにユーザアカウントにはWindows Liveのアカウントを紐づけることが推奨され、それによりクラウドサービスとのデータの同期も行う。
インストールが終わったら、データを確認してユーザディレクトリをWindows7の頃に使っていたパスに変更する。これで普通に使えるようになった。OfficeやVisual Studioなど再インストールが必要なアプリもあるが、レジストリに頼らないアプリケーションはUsers/ユーザ名/AppDataなどのディレクトリが復活すればすぐにでも使えるようになる。

ただし、32bitアプリケーションは従来の"Program files"ではなく"Program files(x86)"というディレクトリを掘るのが決まりのようなので、Windows7から引き継いだアプリケーションはディレクトリ名を"(x86)"に変えた後に"Program files"にシンボリックリンクを作るようにした。

第一印象

Windows3.0から使ってきた根っからのWindowsユーザから見て、先入観なく使ったWindows8の感想だが、

「デスクトップ用のOSをなんとかしてタブレットで使って貰おうと頑張っちゃった。」

こんな感じだろうか。

デスクトップでの用途でもう少し進化していれば評価のしようがあるのだが、ほとんどWinwdows7と変わらない上に退化した部分さえあるので、これでメジャーバージョンアップというのは、正直評価が非常に厳しいところだ。

売りのModernUIアプリだが、デスクトップで使うことは考慮されておらず(当たり前か)全て最大で表示されるだけであり、こんなアプリケーションは普段のデスクトップでは使えない。せめてMac OSXののダッシュボードのように別な仮想デスクトップページに設定されて何時でも切り替える事が出来、デバイスの形態によってロック/無効されて他の機能は使えないような作りにすればよかったのではないだろうか。

デスクトップにとっては広い画面をいかに有効に使うかであり、余白の大きいアプリケーションなんて誰も欲しくないと思うのだ。

困ったところ

Windows8に関しては事前に殆どの情報を遮断していたために、いざインストールしてみたら困ったことが色々発生した。

1. スタートメニューが無い
 いきなりなくしたら戸惑うと思うのだが....チャームも出しやすいとはいえない。

2. サイドバーガジェットが廃止されてしまった
 脆弱性が理由とのことだが、どう考えてもModernUIのLive Tileで作り直してねというメッセージにしか感じない。
気に入っているガジェットがあったので、ガジェットを復活させる8gadgetpackというフリーソフトをインストールすることにした。

3.フルバックアップをNASに作れない
 個人的にはこれが一番困った。
Windows7からあった"バックアップと復元"が見つからなかったのだが、それもそのはず"Windows7のファイルの回復"という変な名前になっていた。 Windows8のインストール後にフルバックアップイメージを作ろうと今まで通りバックアップを開始したのだが

こんな感じでフォルダを別に作っても何回試しても上手くいかない。

公式には未だないが、どうやらSambaベースのNASに対してWindowsBackupのsparseイメージを作成できないというバグ?が発生しているのが各所で報告されいる。

マイクロソフトとしては新たに提供された「ファイルの履歴」を使ってほしいようだが、そもそも用意されているバックアップ方法が正常に動作しないと困るわけで、とっとと修正してほしいところだ。

4.DVDの再生機能は別売り
 DVDとTVの視聴にWindows 7では標準で提供されていた"windows media center pack"が有償となってしまった。
機能の追加 - Microsoft Windows
2013年 1/31まではキャンペーンで無償だったのだが、現在は800円を支払う必要がある。

5.Googleカレンダーと同期できない
 これはWindows側の問題ではないのだが、GoogleGoogle Syncを終了してしまったため、Windows8の立派なカレンダーがGoogleと同期できなくなってしまった。
Google、“冬の大掃除”でExchange ActiveSyncのApps以外でのサポートを終了 - ITmedia ニュース
Google サービスを Windows 8 および Windows RT と同期させる方法 - Microsoft Windows ヘルプ

せっかくタブレットで使うことを前提にした大きなカレンダーだが、自分が普段使っているGoogleカレンダーと同期できないと意味がない。

よかったところ

これはWindows8というよりは64bitOSに替えたことによるメリットが多いが..

1. メモリ空間の使用制限がなくなった
 最近の開発環境では数GBのメモリを普通に要求したり、Webブラウザもタブを開くごとにメモリをガバガバ食うものがあるので、ノートPCでも4GBのメモリを普通に積むようになってしまった。
そんな中当然だが、用意した12GBすべてのメモリが認識されているのが有難い。

2. アプリケーションの互換性が高い
 64bit Windowsを常用するのは初めてになるのだが、64bit、32bitどちらのアプリケーションが動いているかを意識しなくてよいほどに32bitアプリケーションの互換性が高い。ハードウェア絡みだとダメだろうと思いきや、デバイスドライバさえ64bitで書かれていればソフトウェアはそのまま動くものがあるのには驚いた。
まあ元々同じCPUで動作しているので当たり前なのかもしれないが、この辺はWindowsNTの頃からのノウハウの積み重ねなのだろう。

3.アプリケーションの性能が改善される
 アプリケーションの中では64bitOSで動作することにより明らかに性能が上がるものがあった。
例えばTVチューナ視聴/録画アプリケーションである、mAgicTVは32Bit版での動作に比べると起動時間、応答などが明らかに改善されている。
他にもメモリの量に依存しているアプリケーションは当然ながらより快適に動作する。


インストールして一日としてはこんな感じだろうか。

個人的にはデスクトップOSはデスクトップでの用途に磨きをかけて、タブレットはWindows Phone(Mobile)をベースにした方がよかったのではないだろうかとWindows8を使っていて感じた。

今のままではModernUIなアプリケーションは完全に浮いており、デスクトップ用のアプリケーションとの間には物凄い溝がある。まあ、しかし、今までもリリース後のバージョンでは散々に言われたOSを名作に造り替えてきたマイクロソフト、大規模アップデートである"Windows Blue"も控えており、このままでは終わらないだろう。

※結局これすら使わなかったが