Nexus oneが型落ちになった日

Nexus oneが世に出てから一年が経つ。これまでに日本も含めてかなりの数のAndroidスマートフォンが発売されており、その中にはハードウェアスペックを見ると明らかにNexus oneより上の機種も多数あるが、正直Nexus oneを型落ちだと思ったり性能が劣ると思ったことは一度も無かった。

なぜならば、Nexus oneにはGoogle Androidプラットホームのリファレンスとしてのアドバンテージがあったからである。

    • 最新バージョンのOSとそのアップデートが真っ先に提供される
    • Google謹製のアプリケーションの最新版が完全に動作する

GoogleのサービスのプレイヤーとしてのAndroidプラットホームの基準がNexus oneだったのである。
ところがついにこの前提が消える日がやってきた。


モバイル Google マップ

先日Google Mapが5.0になったが、アプリケーションとしてかなり大きな変更があった。

    • ベクターグラフィックを利用した建物の3D表示
    • オフラインにおけるデータキャッシュ

Googleマップ for Android 5.0リリース、3D表示 & オフライン対応
地図パーツがベクターグラフィックに変更されたことで保持すべきデータ量が従来の100分の1近くまで減っており、先行キャッシングによりオフライン状態になってもより広い範囲での地図表示が可能になっている。

Nexus oneでもベクタグラフィクスによる3D表示はも勿論可能なのだが、問題はその操作である。ベクタグラフィクスでのクオータビューへの切替えとその操作は並行に置いた二本の指をドラッグすることで行う。
これもマルチタッチに対応しているNexus oneでは問題無いはず...だが、このヘルプを見てどんな操作をしてもできないジェスチャがある。
Starting and Searching: Touchscreen Gestures

「ローテート」と呼ばれるクォータービューを回転させる操作に関して、Nexus oneが対応していないのが原因。つまり仕様なのである。
Touchscreen Gestures Supported Devices in Google Maps for Android version 5.0.

  • 以下のデバイスは、ジェスチャによるパン、ズーム、チルト、そしてローテートをサポートする
  • 以下のデバイスは、ジェスチャによるパン、ズーム、チルトだけをサポートする

この機器の一覧を見ると今回のGoogle Map 5.0のジェスチャサポートの差は明らかにタッチスクリーンデバイスの世代による差とリンクしている。ローテートをサポートできなかったデバイスはマルチタッチ(スクリーンへの複数の同時タッチ)をそもそもサポートしていないか、又は2点の同時タッチまでをサポートしている。※
一方ジェスチャによるローテートをサポートしている機器は同時4点以上のタッチをサポートしている次世代のタッチスクリーンを持つ機器である。

Nexus oneには非常に愛着があるので心境は複雑だ。少し悲しいが進歩は必要なのだろう。逆にいえばこの進歩の早い中でよく一年もリファレンスの座を守り通したものだと思う。

※ Nexus oneやDesireがマルチタッチサポートなのにローテートに対応できないのは同時タッチの数ではなく、以前から言われているピンチ操作時に同時タッチした点が交差した際に発生する問題と同等のものではないかと推測している。