ソフトウェア アノニマスデザイン

ソフトウエアの世界でのアノニマスデザインといえば、どのようなものを指すのだろうか。バイナリはおろか、ソースコードのレベルでも、有名どころの殆どは作者が存在している訳で、それは厳密には"アノニマス"とはいえない。ならば、元々は作者が居たのだけれども現在なんらかの理由で不在、又は著作権を放棄したものがそれに当たるだろうか。否、著作権を放棄しても誰某作というのは付いて回るからだ。これだと本当に作者知れずというものは存在しなくなってしまう。
これでは駄目なので、もう少し間口を広げてみよう。アノニマスというのはあくまで無名"性"なのであり完全に無名である必要は無いのではないか。最初は作者がいたのだろうけれど、長きに渡っていろいろな人に使われたことで、余計な部分はそぎ落とされ、研ぎ澄まされ、必要に応じて再設計され、今に至るまで使われているような普遍的なものがアノニマスデザインなソフトウェアなのではないだろうか。
古のUNIXコマンド群はそうだといえるだろうか。あと、代々受け継がれてきたソートのアルゴリズムのようなソフトウェアもそれにあたるのかもしれない。
設計の観点から言うと、昨今のデザインパターンの類も、あと10年位経過してもまだパターンとして残っていれば、それはやはりアノニマスデザインということになるのか。(少なくともシングルトンやビジターは無くなっていそうだが)
そう考えると、商用ベースで寡占されているソフトウェアはどこかで進化を止めてしまうことが多い訳で、アノニマスデザインに到達することは稀なのではないだろうか。アノニマスデザインとなる候補は少なくとも、使うこと、改変することに制約があってはならないはずだ。

「こういうのが欲しいんだけど、どこにも無いから自分で作って使ってるんだ。みんなも使ってみるかい? ああ、勿論ソースコードもあるし、自由に変えてくれていいよ」(邦訳文風)

元々こんなのが、その域に到達してるのではないかと思うのだがどうだろう。