私が「Ice Cream Sandwich」を嫌いな理由

GALAXY Nexusが来て2日間使い倒した。ハードウェア自体は良いなぁと思う点が多々あったものの、ソフトウェアに関しては自分がそれを生業にしている点で評価がどうしても厳しくなってしまうようで、今の所嫌いな所ばかりが目立つ状況だ。

私は元々AndroidそれもGingerbread(2.3)までのスマートフォンを主なターゲットとした装飾を控えめにした機能優先なインタフェースとデザインは好きだ。がしかしAndroidとしてタブレットに始めて対応することとなったハニカムは機能的なデザインが影を潜め、完成度もお世辞には高いとは思えないそのデザインとGUIは結局好きになれずじまいだったのである。

そこでAndroid4.0だ。"Ice Cream Sandwich" (以降はICSと略する)はスマートフォンとタブレットのユーザインタフェースを統合するものでありそのデザインは基本的にはハニカムが踏襲されることが当初から解っていたが、ハニカムでユーザのフィードバックを得たはずのそのインタフェースがどれだけ改善されるのかを楽しみにしていたのだが、正直裏切られた感がある。

アクションバーの悪夢


これはGoogle謹製のニュースフィードリーダーアプリケーション"Google Reader"であり、早速ICSに対応したユーザインタフェースを持つ。

画面上部にドッキングするのは"アクションバー"と呼ばれるICSのGUIスマートフォンとタブレットのユーザインタフェースを統合する新しいGUIだがこれが問題だ。右端上部の"⋮"はオプションのメニューアイテム(といっても互換性を保つために従来のメニューアイテムも)が格納される部分だが、この位置は左手に端末をを持った状態で片手で操作するのはまず無理だろう。GALAXY Nexusは大きなデバイスではあるが、仮に4インチのスクリーンを持つ端末であったとしてもこの位置には指は中々届かない。

タブレットならばまだ我慢が出来たところだが、スマートフォンはメインとなる操作は片手で行いたいものだ。なのにICSのアクションバーはそれを真っ向から否定する「もう片方の手による操作」を前提にしておりどうして納得が行かない。

左手で持って操作するならば下端、メニューは左端に配置して欲しかった。

スマートフォンのブラウザでしたいこと


次はAndroidのWebブラウザだ。
ハニカムのそれは完成度が低く、ここはてなのページすらDIVのレイヤをきちんとレンダリングできなかったものだが、ICSではそのようなHTMLの破綻は無く安心した。しかし、またアクションバーである。

Webブラウザの場合このように上端にURLを入力、表示するテキストエリアがあり、その左隣にタブを選択するためのボタンと、そしてまた右端にオプションメニューの項目が格納されている。

これは私だけではないと思うが、AndroidのWebブラウザというアプリケーションはサイトをブラウジングする本来の目的の他に、サイトの情報を他のアプリケーションやデバイス(PC)と共有する一種のハブとしての重要な機能があり、私などはサイトを表示したらそのURLの内容をGMailでPCに送ったり、Twitterで呟いたりとするために多用するのだが、この多用する機能がやはり片手では届かない場所に配置されているという訳だ。
これは心底使いづらい。

統一すらされていない (ように見えてしまう)


最後に、これもICS対応のなされたGMailアプリケーションだが、上で散々貶したアクションバーが下端に張り付いているではないか。(なんということでしょう!) オプションメニューの位置もここならまだ指が届くし許せるというものだ。

どうしてこのようにGoogle謹製のアプリケーションですらアクションバー/メニューが統一されていないのか。ちなみこのケースは恐らく"SplitActionBar"と呼ばれるものであり、画面幅にアクションバーが入りきらない場合はアクションバーが分割されるという仕様なのである。実際GMailも画面向きをランドスケープ(横向き)にした場合アクションバーは上部に張り付くことを確認している。



以上のようにICSのユーザインタフェース特にアクションバーはその位置は使い心地の点からあり得ない。とてもでは無いがスマートフォンらしい使い心地を提供しているとは言い難く私は評価できない。正直がっかりだ。

Googleはいわゆるクラシックな「メニュー」というユーザインタフェースを排除したいのか、アクションバー上にメニューアイテムが格納されるのは従来のバックポートのために用意されているといった感じだ。それと関連してICSからはハードキーは非推奨となるようでGALAXY Nexusもソフトウェアキーのみを備えているが、ここにもメニューキーが無くアプリケーションによってはメニューが出せずに設定が全くできないものまである始末。

いっそのことアクションバーからは完全にメニューは取り払って(ツールバーの如く使う)、代わりにソフトウェアキーに、以下のようにオプションメニューを引き出すキーを追加したらどうか。


(アイコンの順番はもう少し検討の余地はあると思う)

私はこの方がよっぽと良いと思うのだがどうだろう。