輝度哀楽

6/2に言及した液晶ディスプレイのBenQ FP241WZだが、数日は調子良く使っていた。画面がちょっと明るいかなと感じた(これが重要)がすぐに慣れるだろうと思っていたが、2日前から頭痛(というか眼球の奥が痛い症状)が出始めて、昨日画質を調整していていたらその症状がどんどん悪化してついに画面を見ることが出来なくなってしまった。

原因はやはりディスプレイなのだろう。FP241WZの画質はくっきりはっきりしてとても良いと思うのだが、とにかく色温度と輝度が高い。デフォルトだとかなり青白く見えて眩しいのだ。これは私のように長時間テキスト画面を見続ける用途にはきつい仕様だ。
まあこれは大きいサイズのディスプレイにはよくあることなので、調整で追い込もうと輝度を下げていくと0になるのだが、私には輝度0の状態でも眩しいのである。そして悪いことにこの輝度0の状態で映画やゲームの画面を見ると今度は黒が潰れてしまっている。今度は輝度が足りないのだ。 ならばコントラストを下げればと思い調整していくと寝ぼけたような色目になるし、ならばならばと色のγを下げると今度はカラーバランスがおかしくなる。
このディスプレイの画質はテキストを長時間見る用途よりもゲームや映画等、マルチメディアでの使用を重視しているように思える。実際、試しにWMV HD Content Showcaseからダウンロードできるの1080p Full HDのTerminator2のデモ等を鑑賞してみたが、それは素晴らしいものだった。(現在のWMVでここまで綺麗な映画が見れるとは思わなかった。1080Pは圧巻であり環境が合う人は是非視聴してみると良いと思う)

以上、DELL 2000FPが持っている落ち着いて長時間見ても目が疲れない画質が気に入っていたのだが、BENQ FP241WZではそれが得られないようだと気がつくに到ったのである。

この差は何によって起きるのだろう。

今まであまり気にしてなかったが、液晶ディスプレイはその用途やコストによって採用する液晶パネルが違うらしいのだ。細かいことはリンクを読むとして、大きく3つの方式に分けることができることが判った。

液晶パネル駆動方式の仕組みと特徴を知ろう

  • TN(Twisted Nematic)方式
  • IPS(In-Plane-Switching)方式
  • VA(Vertical Alignment)方式


それぞれに一長一短があるようだが、静止画主体(テキストもある意味静止画といえる)の用途と視野角による輝度変化/色変化が少ないという特徴から、私に合うのはIPS方式だということだけははっきりした。しかしIPSは同じ性能にするにはコストが高くなるようで、既に多勢主流ではないようだ。

で、私の心のリファレンスであるDELL 2000FPはどんな液晶パネルを使用しているのだろうと調べてみた。
20.1inch 25ms S-IPS (LG.Philips LM201U02)(LM201U02は既にディスコンだが、各所の情報からこのパネルを採用していたのは明らかだ)

それに対してBENQ FP241WZはどうかと調べてみると
24.1inch 10ms A-MVA(AUO M240UW01 V2)
A-MVA、つまりVA方式だったのである。(それにしても最近の液晶パネルは凄い。"Backlight 12 CCFL"ってことはパネルの中に12本の陰極蛍光ランプが入っているということだ)

ちなみにVA方式パネルだから全て眩しい、IPS方式パネルだから柔らかな画質ということではないことをお断りしておく。各メーカはその特徴を生かした上で製品に合わせていろいろと調整する訳で、パネルの方式だけによって単純に製品の画質の方向性が決まるのでは無いからだ。
例えば国産メーカの三菱やNANAOのようにVA方式を採用しているが全て眩しい画質ではないだろうし、逆にIPS方式の液晶ディスプレイでメリハリが強くギラギラした画質の製品もある。当たり前のことだが液晶パネルは素材であり、それを調理するのはメーカってことだ。
また、どこそこのメーカはVA方式パネルを使っている、×××はIPS方式パネルを使っているから、という特定のメーカと使うパネルの方式を関連付けるのも成り立たない。例えばDELLであれば2000FPや2001FPではIPS方式パネルを使用しているが、最新の24インチの製品等はVA方式パネルだ。同じことがBENQや他の国内メーカにも言える。やはり適材適所というか、用途、コスト、流通量に合わせて使い分けているのだろう。

それでも私がIPSじゃないと駄目だという結論になったのは画質だけではなく、BENQ FP241WZ(A-MVA)とDELL 2000FP(S-IPS)の視野角による色の違いに気がついてしまったからだ。
最近の液晶ディスプレイは150°以上の視野角を持つ。上記で紹介したIPS型とVA型の最新のパネルも両型ともに水平/垂直ともに178°という一昔前の液晶では信じられない広視野角を持つが、同じ視野角ならば見え方も同じとは限らないのだ。丁度解り易い例がLG.Philipsのサイトにあったので紹介するが、

Super-IPS delivers wider viewing angle and great color fidelity

Super-IPS Cyber Tour(フラッシュ動画)

LG.Philipsの売りはS-IPSなので手前味噌であることを割り引かなくてはならないが、それでも水平90°程度で見た時のBENQ FP241WZ(VA)とDELL 2000FP(PS)の画面の見え方の違いはこのリンクのイメージ(01. Coloe Shift of Viewing Angle)そのものだった。反射光は抜きにしてもDELL 2000FPは色が殆ど変わらないが、BENQ FP241WZはこのイメージの様に白い皮膜が被ったように見えてしまうのである。
ただし、これもひょっとすると好みと慣れの要素なのかもしれない。最初に購入した液晶ディスプレイがVA方式のものだったならばそれに慣れたのであろうことは想像に難くない。私はIPS方式に刷り込まれてしまったのだろうと思う。

う〜ん、やはり買い急いだのだなぁとある決意を秘めつつ土曜日に続く。

  • 明日への布石
if ( IPSパネル && WUXGA && 10万円台 && ( 対角 <= 24inch) ) {
    NEC LCD2490WUXi(BK);
    Quixun QHD-M23W;
    Acer AL2623W;
    Apple Cinema Display 23;
}

やはりVA方式に比べて極端に少ない。見たことの無い機種もあるし。