輝度哀楽 (MultiSync LCD2490WUXi その2)

LCD2490WUXiだが一通り調整を済ませた。その画質は満足できるものであり常用していけることを確認した。(さすがにもう買い換えることはできないし) 
細かいレビューなどはそもそも書けないし、他に良質な解説が幾らでもあるので私は特に気に入った部分だけを書いておこうと思う。

LCD2490WUXiはIPS方式のパネルを採用しているが、それでも最新のWUXGAのディスプレイであり例に漏れず電源投入直後の状態では輝度が非常に高いものだ。OSDの設定で0にしてみたがそれでも眩しい。
これも勉強して知ったことだが、液晶ディスプレイの輝度の調整は通常はバックライトの明るさを変えて行う。しかし電子銃の出力を自在に調整できるCRTとは違い、バックライトに使われている蛍光灯はあまり明るさを変えるのに適したデバイスでは無い。従って、液晶ディスプレイの輝度の変化の範囲はCRTに比べて非常に狭いのだ。ましてや24インチの大画面を照らすために10本以上配置されている蛍光管は目いっぱい輝度を下げても眩しい。

輝度とバックライト NEC Display Solutions

  • Low Bright Mode

このディスプレイには通常の輝度変更の手段としてバックライトの輝度を変える以外にシステム全体の輝度を根本から変える機能を持っている。それがLow Bright Modeだ。
実はこの機能は通常のOSD(On Screen Display)メニュー上には無い。このディスプレイ、設定画面にはアドバンスモードと呼ばれるユーザインタフェースを呼び出すこと出来、それにより通常では不可能な(一般的には不要な)設定を行うことが可能になる。
Low Bright Modeもアドバンスモードから呼び出せる機能であり、なんと液晶素子側の制御で(電圧か?)輝度の上限の閾値を設定してしまうものだ。
具体的には工場出荷状態から輝度を絞って0にした、Low Bright Modeがoffの輝度を100%とすると、それぞれLow Bright Mode:onで50%、Low Bright Mode:advで25%の輝度にシステム全体の輝度を下げてしまうものであり、実際に使ってみるとその効果は絶大である。
輝度に対する感受性は人それぞれ環境それぞれだと思うが、私の場合は常時"Low Bright Mode:on"にして輝度を15に設定することでやっと眩しくなくなった。ここまで輝度を落とせる液晶ディスプレイは見たことが無い。

それにしてもどうしてこの機能は「アドバンスモード」にしか無いのだろう。
このディスプレイ「オートデミング」という環境の明暗をセンサーで検地してダイナミックに輝度を自動調節する機能が付いている。このような機能でバックライトの輝度を変更すると画面がちらついて不自然になるので、液晶素子の輝度を直接変更しているのではないだろうか。それをマニュアルで行うのがLow Bright Modeではないかと思ったり。

  • 12ビットガンマ調節機能

輝度を下げたのは良いが、そのためになんとなく寝ぼけた色合いになったり画像の(特に暗部の)階調が無くなる「黒潰れ」になり困ったことがある人は多いだろう。私も同じであり、それは液晶ディスプレイで輝度を下げる際の副作用であり宿命みたいなものと思っていた。実際BENQ FP241WZがそうであり、輝度を最低に設定すると画像や映像の暗部が潰れてしまい今度は輝度を上げるが眩しいので、今度はコントラストを下げると色がおかしくなって堂々巡りをしており、非常にストレスを感じていた。

それなのにこのLCD2490WUXiは輝度を思い切り下げても素人の私には色とその階調が変わったように見えないのである。専門的には「RGB各色に12ビットのルックアップテーブルを採用したことで、低輝度における階調飛びや黒つぶれが解消される」らしいのだが、これって地味だが凄くないか。

低輝度使用時におけるガンマ調整機能 NEC Display Solutions

  • その他

細かいことだが、アドバンスモードでは電源LEDの明るさを3段階(明/暗/と消灯!)に設定できたり、そもそも電源LEDの色を青と緑から選択できたりとなんでもありであり、まるでPCのBIOSを弄っているかのようである。
通常、精密機器は細かい設定があることで素人の手に余ることが多かったりするが、このディスプレイのように一般設定とアドバンスモードのように二層の設定メニューがあるのは素晴らしいと思う。