速く、静かに

PC-DIYの醍醐味はなんといっても気に入らないパーツを自分で好きなように変更していけることである。
現在の構成は以下の通り。当初と比べて既に幾つか変更している物もあるのだが、誤差の範疇だ(笑)

MPU : Intel® Core™ i7 965 Extreme Edition
MEM : Corsair TR3X6G1600C9 PC3-12800 6GB Kit
MB : SUPERMICRO® X8SAX
GPU : SAPPHIRE HD4870 1GB GDDR5 PCI-E DUAL DVI-I/TVO Silent Efficiency
SSD : Intel® X25-M SATA Solid State Drive 80GB
HDD : WD Caviar® Blue WD6400AAKS(640GB,3Gb/s,16MB Cache,7200RPM
DVD/BD: Panasonic LF-PB371JD
TV/CAP: IOData GV-MVP/GX2
SOUND : Sound Blaster X-Fi Titanium Professional Audio

こんなPCなのだが、順調に動作している反面不満な点も幾つか出てきている。

Intel Core i7はマルチコア・シングルプロセッサだがTDPは130W。更にビデオカードATI Radeon HD 4870はPCI-E補助電源を2本使う大食いであり、電力はどれ位食っているのかとワットチェッカーで計ってみた所、

ブート時 : 200〜210W
アイドリング時 : 170〜180W
高負荷時 : 240W〜270W

結構凄いことになっている。ケースも、今は真冬だと言うのに外側からプロセッサのある辺りとビデオカードがある辺りを触るとほっこりと暖い。これだと夏が非常に心配だ。

  • 騒音

ケース内の騒音で最たるものは、1.プロセッサクーラのFAN動作音 2.ビデオカードのFAN動作音である。以前に使っていたXeonを2台使ったシステムに比べると随分と静かなはずなのだが、それでもフルスロットル時のFAN音は「シュゴーー」とかなり耳を付く。

これら2点の不満を解消すべく、ネット上でリサーチを行った。

7年ぶりにPC-DIYに戻ってきて最初に驚いたのがプロセッサ用ヒートシンク/クーラーのその大きなことである。その中でも一つのトレンドになっているのは

ベース部分には熱伝導率の高い銅等の金属を用いる
ベースブロックからは複数のヒートパイプを伸ばし、熱をプロセッサからヒートシンクへ移動させる
ヒートシンクは薄いフィン状のアルミ等を幾重にも重ねて表面積を稼ぎ、その中にヒートパイプを貫通させる
ATXケースの吸気側(前方)から排気側(後方)へクーラー自体もエアフローを形成する(フローを促す)
12cm以上のファンを1つ、又はプッシュプル※で2つ使用するため、比較的静かである

※吸気と排気側の両方に同径のファンを付けることを言う。より少ない回転数で一つのファン以上のエアフローを実現できる

これらの特徴を持つ物だ。
また、この傾向の製品のもう一つの大きな特徴はO/C(オーバクロック)で遊ぶ連中も、静かに使いたい連中も同じもの使っていることだ。

[OCで遊ぶよ派]
上記のクーラーのファンを高速回転させて強力に冷却する(オーバクロック時のマージンを稼ぐ)

[静かに使うよ派]
上記のクーラーのファンを低速回転させて必要最小限に冷却する(ファン低回転時の正常動作マージンを稼ぐ)

これら二つの使い方ができるということだ。従って、静かに定格で使いたいユーザも大きいヒートシンク/クーラーを使う意味はあるといえる

このような目的のために幾つかの似た製品を候補として選び、最終的に以下の二つに絞った。

Thermalright Ultra-120 eXtreme 1366 RT
Noctua NH-U12P SE1366

どちらも上記のトレンドに沿った製品であり、元々Core i7以前から存在しているが、両製品ともに高性能であり、ユーザの評価も非常に高く、メーカも早々にCore i7に対応したという経緯を持っている。

両者の違いはヒートシンクの形状と大きさ、ヒートパイプの本数等なのだが、見た目にも似ているので性能も似通っていることは想像に難くない。その中でも

・Thermalright Ultra-120 eXtremeは高負荷に強く、ファンの風量があれば限界近くまで良く機能する
・Noctua NH-U12Pは高負荷時の性能はUltra-120程に及ばないものの、非常に静かに機能する

このように、少し性格が違うようだ。
いろいろ迷ったのだが、結局私はO/Cはしないのでより静かに回せるNoctuaを選んだ。
Noctua NH-U12P SE1366に関してのレビューは海外には大量の写真を使った良いものが既にあるので、私は書かない。
その中でもお気に入りの二つのレビューへのリンクを紹介しておくので、興味がある方は是非見てみてほしい。とはいうものの製品名でネットワークを検索すれば幾つも同様のサイトを見つけることができるだろう。(Noctua NH-U12P SE1366という型番の末尾のSE1366はLGA 1366のための専用品という意味であり、ファンが二基付いている以外はNoctua NH-U12Pとなんら変わらない)

anandtech Noctua NH-U12P Top Performance AND Silence
Legit Reviews - Noctua NH-U12P CPU Cooler - The Sound of Silence - Introduction

両レビューともに大きくて詳細な写真が多数あり、非常に参考になった。

これは余談だが、この手のヒートシンクの造形というのは非常に美しい。というか機能美とでもいうのだろうか、Thermalright社といい、このNoctua社といい、見て美しいものは性能も良いことが殆どである。